市街地以外は人手不足!?ここでは高知県が抱える病院事情についてご紹介します。
病院事情を徹底解説~高知編~
高知県の医療について考えるなら、まずは高知の医療圏について知っておく必要があります。
医師偏在の問題や、地域単位の問題について知るためには医療圏ごとの特徴を捉えておかなくてはいけません。東西が非常に長く面積の広い高知県では同じ県内でも地域ごとの事情が大きく違います。
さらに高知市だけに県内の43.7%が住んでいることもあり、病院の集中も問題になっているのです。全国平均でも人口10万人あたり7.2院の病院しかないのに高知市に限ると22.1院もあり、そのせいで結果的に他地域へシワ寄せが行っているわけですから。
まずは医療圏ごとの医師数を確認してみましょう。高知市を擁する中央医療圏と他エリアの格差がよく分かります。
医療圏ごとの医師数(人口10万人あたり)
- 中央医療圏…320.8人
- 高幡医療圏…143.1人
- 幡多医療圏…181.8人
- 安芸医療圏…148.3人
医療圏ごとの細かい病院事情
次に、それぞれの医療圏について細かな医療事情を探っていくことにしましょう。中央医療圏以外の医療圏がいかに深刻な状況にあるかがよく分かります。
医療圏別の病院事情
高知市は医師数や病院数が非常に充実していますが、それゆえに中央医療圏と高幡、安芸医療圏の救急患者は50%が高知市内に搬送されています。隣接する医療圏の患者まで受け入れているため、救急病院は混雑する傾向。
医療圏全体を見ても、小児科に対応している救急病院が1つもありません。加えて分娩を行うことのできる医療施設が1つもないため、小児科&産婦人科については半ば中央医療圏に依存している状態。
中核病院として幡多けんみん病院が存在しており、医療圏の中でだいたいの医療が完結しています。ただ、2007年に四万十市民病院が医師不足によって救急指定を返上しているなど、病院事情が良いとまでは言えない状況が続いています。
県立安芸病院が中核ですが、医師不足によって心疾患&脳血管疾患の急性期医療に関しては機能低下を起こしている状態です。
高知の病院事情はかなり厳しい!?
高知県では郡部の拠点病院で医師数が大きく減ってきています。なんと、2002年から2009年までの7年間で25%も減少しているというから驚きです。
郡部にある拠点病院の医師減少数
- 嶺北中央病院:-1名
- JA高知病院:-8名
- 高北病院:-7名
- 土佐市民病院:-5名
- 須崎くろしお病院:-5名
- くぼかわ病院:-0名
- 県立幡多けんみん病院:-9名
- 四万十市民病院:-12名
- 県立安芸病院:-13名
- 田野病院:+2名
- 合計:-58名
こうして、226名いた高知県郡部の拠点病院医師数は168名へと激減。高知市の医師や看護師事情が比較的良い反面、郡部は厳しい状態におかれています。
その他、高知県では救急車が管外の病院へ搬送することを余儀なくされる場合も多く、郡部での医療事情の厳しさが窺えます。管外搬送が少ないのは高知市と幡多西部のみ。高知市はともかく幡多西部は県の西橋で地理的に管外へ搬送できないという事情が大きいでしょう。
いくら病院数に恵まれているとはいえ、高知市以外の地域では決して楽観できる状態ではないのです。